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耳で読む ヘッセ 愛の童話 5 「アウグスツス」 2/4 -聴きものがたり [ヘッセ愛の童話]

さて、アウグスツスは他の子どもたちのように成長した。
明るい元気な目をした、かわいいブロンドの少年で、母親に甘やかされ、どこへ行っても好かれた。
エリーザベト夫人はいくらもたたないうちにもう、洗礼日の願いがこの子の身に実現されて行くのに気づいた。
何せ、この子が、歩けるようになり、小路やよその人たちの所に行ける年ごろになると、だれでもが、めったにないほどかわいくて、人みしりをしない、利口な子だと思い、だれでもが彼に手をさしのべ、目の中をのぞき、好意を示すのだった。
若い母親たちは彼にほほえみかけ、年とったおばさんたちはリンゴをくれた。
彼がどこかでいたずらをしても、彼がしたのだとは、だれも信じなかった。
たとえ彼のしたことが否定できない場合でも、みんな肩をすくめて、「あんないい子は、何をしたって全く悪くはとれないよ」と言った。
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耳で読む ヘッセ 愛の童話 5 「アウグスツス」 2/4 -聴きものがたり

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耳で読む ヘッセ 愛の童話 4 「アウグスツス」 1/4 -聴きものがたり [ヘッセ愛の童話]

モストアッケル通りに、ひとりの若い女が住んでいた。
ある不幸のため、結婚後まもなく夫を失って、今は貧しく、寄るべなく小さいひと間にすわって、父のない子となる身の上の子どもの生まれるのを待っていた。
彼女は全くひとりぽっちだったので、彼女の考えることといえば、いつも、待ち受けられる子どものことを離れたことがなく、彼女がこの子どものために考え出し、願い、夢みなかったような、美しいこと、輝かしいこと、うらやむべきことは、ないくらいであった。
窓に鏡ガラスをつけ、庭に噴水のある石造の家であったら、子どもにとってはまず申し分ない、と思われた。
だが、子どもの将来となると、少なくとも大学教授か、王さまにならねばならなかった。
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耳で読む ヘッセ 愛の童話 4 「アウグスツス」 1/4 -聴きものがたり

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耳で読む ヘッセ 愛の童話 3 「アヤメ」 3/3 -聴きものがたり [ヘッセ愛の童話]

そのうち時がたった。
これほど早く容赦なく時がたったことはなかった! 
一年がめぐった。
彼は依然、イリスと別れた時と全く同じ場所に立っているように思われた。
しかし彼はこのあいだに非常に変わった。
そのことは彼以外のだれにもよくわかった。
彼は老いもし、若くもなかった。
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耳で読む ヘッセ 愛の童話 3 「アヤメ」 3/3 -聴きものがたり

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耳で読む ヘッセ 愛の童話 2 「アヤメ」 2/3 -聴きものがたり [ヘッセ愛の童話]

この時期にアンゼルムはしきりにある友人の家を訪れた。
その妹が彼をひきつけたのだった。今はもう美しい顔を手がるに追い求めなどはしなかった。
その点も変わっていた。
幸福は、彼にとって特殊な形で来るに違いない、どの窓の中にでもあるわけではない、と彼は感じた。
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耳で読む ヘッセ 愛の童話 2 「アヤメ」 2/3 -聴きものがたり

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耳で読む ヘッセ 愛の童話 1 「アヤメ」 1/3 -聴きものがたり [ヘッセ愛の童話]

幼年時代の春、アンゼルムは緑の庭を走っていた。
母の作っている花の中の一つはアヤメという名で、彼は特に好きだった。
彼はほおをその高い淡緑色の葉にあてたり、指をそのとがった先端に押しつけて、さすってみたり、大きなすばらしい花の香をかいで吸いこみながら、長いあいだ中をのぞいたりした。
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耳で読む ヘッセ 愛の童話 1 「アヤメ」 1/3 -聴きものがたり

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